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スキンヘッドでお仕事

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12歳ですべての髪をなくしました。脱毛症です。今は「髪のない私にありがとう!」とご機嫌に暮らしています。多様性が当たり前になる社会に向けて活動中。 ■好き:おにぎり、風、星空、家族 ■モットー:自分を生きる、自分を楽しむ♪ ■著書「ここからの一歩」~母さん、髪がなくても大好きだよ~

「就職や、お仕事をする上で、支障はありませんでしたか?」

先日、ある脱毛症の方から、そんな質問を受けました。

「スキンヘッド女性を受け入れてくれる職場は 中々ないので」とのこと。

別の当事者の方は「ウィッグをして働いてください」と、言われたことがあるそうです。

「男性はスキンヘッドで働かせてもらえるのに、女性だと働かせてもらえないのは

何故なのか? 本当に疑問です」と……。

 

未だ、厳しい現実もあるのですね。心が痛いです。

 

私の就職活動は

私は、22歳の時 故郷の福井県を離れ、1人鳥取県に来ました。

当時の目的は、自分のことを誰も知らない場所で ウィッグをとって生活し、

脱毛症を治したい! そんな思いからでした。

福井で 私がウィッグをとって生活することに 両親は反対だったし、

自分も、そんな強さがなかったから。

 

自分のやれる範囲でやってみなさい」と送り出されたので、

両親からの援助はなく、アルバイトで貯めた わずかな貯金を持って、

家探し、仕事探し……見知らぬ土地で 1人歩き始めました。

スマホもない時代。あちこち迷いながら 人に尋ねたり、

公衆電話から電話をかけたり 必死でした。

不動産屋、ハローワーク、市役所……

 

市役所では、ある男性職員が、私の話を親身に聞いてくださいました。

そして 最後に言われた言葉は、

「仕事を探すより、病気を治すことに専念されてはどうですか?」でした。

丁寧に対応してくださったことには 感謝ですが、とても残念でした。

私は ここで1人で生きていくのに どうしても仕事をしないといけない。

だから、「仕事を探している」と 相談したのに……。

 

その時の私は、鳥取に来て まだ2日目。

ありのままの自分でやっていこう」と、覚悟を決めて 来たはずなのに、

帽子をかぶっていました。自分で細工した もみあげ付きの。

完全に委縮していました。

 

その次の日、意を決して帽子を取りました。

(その時のことは、こちらの記事で➤ https://miono11.com/wiggu%e2%80%90toru/ )

 

ありのままの私、ツルツルの頭で 家と仕事探しを続けました。

すると、プールのインストラクターの募集が、目に留まりました。

子どもの頃、得意だった水泳! ウィッグ生活になってからは 諦めていたけど、

今の私ならできる!」 そう意気込んで、面接を受けたら 即採用!

 

面接してくださった男性スタッフが、その前日 私が駅の中をウロウロ

している姿を見て「かっこいい!」と思ってくださったのだそう。

ありのままの自分で歩き始めた時、やっと人から認められたのです。

 

そこで 初めてできた仲間たちに 支えられながら、

私は 子どもたちの初歩的な指導にあたりました。

元々アトピー体質の私は、プールに何時間も浸かっていると、肌がみるみる荒れて

2か月で やめてしまうことになったのですが。

でもこの経験は、わたしにとって、大きな自信になりました。

 

今度は、短大で取得した 保育士、幼稚園教諭資格の 生かせる場所を探しました。

ある幼稚園での面接で、男性園長に こんなことを言われました。

その頭で働くつもりですか?と……。

私はひるまず、プールで子ども達に慕われ 特に問題なかったことを伝えましたが、

「子どもたちはいいけど、親御さんになんて思われるか……」と言われ、

結果、不採用。(経験もない 未熟者だったせいかもしれませんが)

 

次に面接を受けた保育園では、1年間の臨時採用が決まり、

その後、児童館で19年間、保育園で2年間 働きました。

勿論、ウィッグは 1度もつけていません

 

あの時「その頭で働くつもりですか?」と言われた、園長先生の心配を 想像してみました。

「病気の先生が働いている⁈ 大丈夫?」(親の不安)

「子どもが怖がるのでは?」

 

一般的にスキンヘッド女性を 雇う側の気持ちもあわせて 想像すると、

「ウィッグもつけずに 変わってる人?」

「キチっとメイクが必要な職場では、身だしなみ的に スキンヘッドはどうなの?」

「この人、大丈夫? ちゃんと働ける? 続く?」

「お客さんとの 信頼関係に 支障はない?」

……こんなとこでしょうか?

 

私がスキンヘッドで働くことに 揺ぎ無かったのは、

心身ともに快適な状態で、脱毛症を治したい!と思ったからと、

子どもの命を預かる 保育の現場で、

自分のウィッグのことを気にしていては 働けないと思ったからです。

(実際、実習中 髪を引っ張られたりしたし)

 

働いた保育園、児童館の保護者の中には、

心配された方が おられたかもしれません。

でも皆さん「細田先生~」と普通に接してくださいました。

子ども、保護者、学校、地域、行政……様々な方が ごく自然に。

小さい子は「かわいい♡」と 私の頭を撫でてくれました(笑)

 

もし私が、恥ずかしそうに オドオドしていたり、

ちっとも笑わなかったり、仕事に支障をきたすようでは 務まらなかったと思いますが。

ありのままの自分で 働く場所に恵まれたこと、本当に有り難いことです。

 

保育の仕事は、2020年3月末で 卒業しました。

今でも、児童館の元子どもが、大人になった姿で 私を訪ねてくれたり、

連絡をくださる 保護者の方もおられます。

先日も「生き方が素敵です」と言っていただきました。

今後は 自分の経験を より生かせる道を 歩んでいきます。

 

自分らしく 自由に 生き方を決める

脱毛症などは、生まれつきだったり、私のように原因不明で 突然抜けたり、

病気の治療によって 一時的に抜けたり……。

当事者の ウィッグに対しての思いも、様々です。

自分らしく 楽しんでおられる方や、

楽しめず、でも現実を受け入れながら 頑張っている方も たくさんおられます。

 

ウィッグをかぶって働くか、素の頭で働くか、

自分で 自由に決めて生きる! そんな社会であってほしい。

働く意思があっても 働くところがなければ どうにもなりません。

仕事の目的や 価値観は様々ですが、やはり生きるため、安心して暮らすため、

何らかの形で 収入は 必要なものだと思います。

 

もちろん働くことだけに 価値があるというわけではありません。

そこに存在するだけで 誰かの役に立っていたり、

生きている、ただそれだけで 誰も価値があります

 

これからの時代、働き方は もっと多様になっていくでしょう。

まずは一人一人の個性を大切にし、

本人の意思によって 自由に決められる社会であってほしい。

 

誰かを選ぶ側になったときは、

見た目や、どこで生まれたとか、どんなことをしてきたか、などの

目で見る情報や 自分の想像の枠内で判断せず、

『今、目の前の人が 1人の人間として どうあるか?』

理解しようとする気持ちが 大切なのではないでしょうか?

 

1人1人が持って生まれた 本質に 気づくこと。

それは、仕事だけじゃなく、日常生活や恋愛においても……

誰も 自分らしくいることが、輝きや 自信になり

それがきっと誰かの役に立つ 大きな力にもなるはずだから。

 

今、あなたのいる場所が どうしても居心地が悪い、

魂が 傷つき悲しんでいる……

そう感じているのなら、それは あなたの居場所ではないのかもしれません。

 

何かに気づくための通り道だと考え、ゆっくり休んで 元の自分にかえり

自分らしくいられる道を 一歩一歩 歩んでいこう。

大丈夫! 素のあなたのままで 安心できる場所が きっとあります。

 

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12歳ですべての髪をなくしました。脱毛症です。今は「髪のない私にありがとう!」とご機嫌に暮らしています。多様性が当たり前になる社会に向けて活動中。 ■好き:おにぎり、風、星空、家族 ■モットー:自分を生きる、自分を楽しむ♪ ■著書「ここからの一歩」~母さん、髪がなくても大好きだよ~
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