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父の時計

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12歳ですべての髪をなくしました。脱毛症です。今は「髪のない私にありがとう!」とご機嫌に暮らしています。多様性が当たり前になる社会に向けて活動中。 ■好き:おにぎり、風、星空、家族 ■モットー:自分を生きる、自分を楽しむ♪ ■著書「ここからの一歩」~母さん、髪がなくても大好きだよ~

「ありがとうのこだま」という記事で書いた  https://miono11.com/thank-you/

ありがとうの奇跡 の一つを お話します。

 

父の時計

今月、父の 15回目の命日がありました。

15年前の寒い冬、父は亡くなりました。

遺品整理を 夫も手伝ってくれて、

その時 処分されようとしていた時計を、

夫が「その時計、いただいてもいいですか?」と、母に頼みました。

 

自動巻きの 古い時計

その後 夫は 時計のバンドだけを変え、 時々 使っていたようです。

 

それから1~2年が経った頃、時計は止まってしまいました。

夫は、地元では大きい時計店に 修理を頼みに行きました。

見積り額は、約3万円。

「古いから  それくらいの金額は仕方ない  …  」と思いつつ、

当時は、直るかどうかも分からない 時計の修理に

3万円払うゆとりはなく、いったん保留にしていました。

その後、そんな話は すっかり忘れていた私。

それから 約13年の時が流れ、

昨年11月 夫は父の時計を「やっぱり直したい」と言い出しました。

時計が動かなくなってからも

夫は  毎日、父の時計を カバンに入れて 持ち歩いていたというのです。

それを聞いた私は すごく驚き、

我が夫ながら その優しさに 感動しました。

 

15年前と同じ 時計店に持っていくと、

今回は メーカーでなく、

大阪の 古い時計でも直してくださる店に出す ということで、

見積もりは、3万6千円 程。

治らなかったとしても、その金額は払うことになるという。

 

3人の娘たちに お金がかかるし、

自分に欲しい物があっても 滅多に買わない夫。

けっして ゆとりがあるとは言えない状況の中、

夫は迷わず、修理に出しました。

 

そして数週間後・・・

時計は復活して 帰ってきました!!

 

自動巻きだから、いつまた止まって 使えなくなるか分からない。

だから、ずっと動き続けるようにと、

夫は ワインディングマシーン というものを買い、

時計を 大事に入れてくれました。

 

古い父の時計が、

何か お店屋さんに置いてあるように オシャレな感じになって、

そして・・・  グルグルと  回り始めました!

時計が 遊園地の乗り物にでも 乗っているかのように、

なんとも楽しそうで 「ワーーーイ!」と 喜んでいるように見えます。

時々、グルグルと回る …

 

父との 思い出

色々な事情があり、父は 県外で一人で亡くなりました。

66歳 でした。

当時 長女は 2歳。 次女と 3女は 父に会っていません。

 

本当は、もっと生きて 一緒に楽しみたかったであろう 父。

私も「もっと出来ることがあったのに・・・」という後悔がありました。

 

私のことを 愛情いっぱいに育ててくれた 父。

キャンプや 登山、冬は 雪遊び・・・

自然の中で いっぱい遊んでくれました。

 

私が 脱毛症になった時は、どうにかして直そうと

あちこちの病院へ 連れて行ってくれたり、

高価な オーダーメイドのウィッグを 買ってくれたりしました。

 

私が「ありのままの姿で 生きたい」といった時、

父は反対し、その言葉に 私は  傷つきました。

親として、一人の人間として 葛藤  もあったことでしょう。

 

私が   福井の実家を出て 鳥取に行くとき時は、

静かに涙を流す 父でした。

 

鳥取で 私に家族ができた時は、本当に 喜んでくれました。

 

そして、亡くなる数年前には、

「 頑張り屋さん美緒乃 尊敬する と言ってくれました。

・・・

父とのことは、話しだしたら 止まらなくなるので

別の記事に いつか書けたらと思います。

 

共に 生き続ける

そんな父と 夫が 同じ時間を過ごしたのは、

福井と鳥取で 離れていることもあり、

約8年の間で 10 数回程だったと思います。

 

そんな限られた時間の思い出を、

夫は 今でも大事にしてくれています。

 

福井で 父と一緒にお酒を交わした フグの形の とっくり

福井の実家には、とっくりが割れて おちょこしか残っていないことを知ると、

夫は、なんと  メルカリで 同じとっくりを見つけました ❣❣

今日も  その「フグちゃん」で、晩酌を楽しんでいる夫です。

 

時計に、おちょこに、優しく微笑む 父の写真  ・・・

生活の中に 父が溶け込んでいます。

父も、賑やかな我が家を 楽しんでくれているでしょうか?

 

父との 時間 や  交わした 言葉 は どれもこれも 必要 なもの

すべて 今の私に繋がっています。

 

あの時はだれも「 仕方なかった 」

それでも やっぱり「 育ててくれて ありがとう 」

 

そんな 心からの 許しと 感謝 が、

目の前の景色を 全く違うものに変え、

温かさで 満たしてくれています。

 

この先もずっと、私を 支え続けてくれることでしょう。

 

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12歳ですべての髪をなくしました。脱毛症です。今は「髪のない私にありがとう!」とご機嫌に暮らしています。多様性が当たり前になる社会に向けて活動中。 ■好き:おにぎり、風、星空、家族 ■モットー:自分を生きる、自分を楽しむ♪ ■著書「ここからの一歩」~母さん、髪がなくても大好きだよ~
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